12.水の色

『真福地のはいちやう節』
若水に面 洗て九重に
のぼて首里がなし みおんき拝ま

<歌意>
元旦の若水で顔を洗い清めて首里城に登り
国王様を拝見しましょう

《若水とは元旦の早朝に井戸から汲んだ水のことをいい、邪気を払い身を清める力があると考えられていました。若水で顔を洗い身を清め、国王様を拝み、その一年が良い年であるようにと祈る心情が表現されています。

琉球開闢の地で最高の聖地とされる国頭村辺戸では、新年を迎えるにあたり安須杜岳ふもとの御嶽にある聖水を汲んで五穀豊穣の儀を執り行っていました。その水が首里城にも「若水」として献上され、琉球王国のさらなる繁栄を願っていたとされます。この一連の行事を「お水取り」と言い、現在でも大切に継承され執り行われています。

古来より人々は命を司る水を神聖なものとし、大切にしてきました。枯れることなく湧き続ける水は豊かな国の象徴であり、その豊富な水が首里の人々の暮らしや文化を潤し、今日まで繋いできたのです。

琉球古典音楽演奏家 親川 遥

さくの川

さくの川は、急な崖の下から湧き出る地下水を、導き出した共同井戸です。
琉球王朝の時代、その谷の斜面には、王府直轄の芭蕉園がありました。その芭蕉を用いて、紙すきが行なわれておりました。
かつてここの水は村人の飲料水や生活用水としてだけではなく、紙すきという産業にも用いられていました。

宝口樋川

首里の人々の生活用水として使われた共同井戸です。
急な崖の下にあるため沖縄独特の「あいかた積み」とよばれる石積みでつくられており、頑丈にできております。
どんな干ばつでも決して枯れることがなかったといわれ、現在でも水が湧き出ています。