07.首里城の夜の色
『干瀬節』
名に立ちゆる今日や 月影も清らさ
思里よ誘て 眺めぼしやの
<歌意>
名高い十五夜の今宵は月影も美しい
愛しい御方を誘って眺めたいものです
《思里》とは、女性から男性へ愛情を込めた呼称です。《干瀬節》は独唱曲としても知られ、琉歌(歌詞)を変えて歌われることも多い楽曲です。哀愁漂う曲想を持ち、感傷的な情念や恋慕の情など恋の歌に多く用いられます。
西のアザナから眺める首里の夜景。色鮮やかな絶景に多くの人々が心を癒しています。しかし、現在のように電気のない王朝時代の夜は、まさに闇夜だったことでしょう。その中で夜眺めるものといえば、月や星ではないでしょうか。特に月には神秘的な力があり、古より人々は月を愛でてきました。恋人と楽しく眺めることもあれば、一人で眺めては物思いに更けるなど様々な心情の変化が起こります。
夜景を眺めるも月を眺めるも、胸中では同じことが行われているのではないでしょうか。「眺めては思う」、それこそ今も昔も変わらない普遍的な人間の感情なのです。
琉球古典音楽演奏家 親川 遥
守礼門
「守礼(しゅれい)」とは「礼節を守る」という意味で、門に掲げられている扁額(へんがく)には「守礼之邦(しゅれいのくに)」と書かれています。
「琉球は礼節を重んずる国である」という意味であります。
1527~55年(第二尚氏4代目尚清王(しょうせいおう)代)にはじめて建立され、沖縄を象徴する観光施設として利用されており、2000年の記念紙幣2,000円札の絵柄にもなっています。
歓会門
「歓会(かんかい)」とは歓迎するという意味です。
首里城へは中国皇帝の使者「冊封使(さっぽうし)」が招かれていましたので、こうした人々を歓迎するという意味でこの名が付けられました。
ここは首里城の最初の門で、別名「あまえ御門(あまえうじょう)」とも言います。「あまえ」とは琉球の古語で、「喜ばしいこと」を意味します。
西のアザナ
標高約130mの城郭の西側に築かれた物見台からは、那覇市を一望できます。
王国時代にはここに旗を立て、鐘を鳴らし時刻を報じた場所でもあります。