26.植物の色
『踊こはでさ節』
こはでさのお月 まどまどど照ゆる
他所目まどはかて 忍でいまうれ
<歌意>
こはでさ(和名 コバテイシ)の上に出た月は、葉の間のわずかな隙間しか照らしません。
あなたも同じように他人の目の隙間を見計らって忍んで来てください。
コバテイシは熱帯地域に広く分布する半落葉性の樹木です。枝は横へ広く伸び大きな葉をつける特性があり、コバテイシの下は広い木陰ができ沖縄の強い日差しを遮るのに適した樹木となっています。そのため集会所や公園、また学校など人が集まる場所に植樹されており、コバテイシの下は子供達の遊び場や人々の憩いの場となっています。
また、コバテイシは「人の泣声で育つ」と古くから言い伝えられており、墓地や沖縄祈念公園の平和の礎にも植樹されているなど別の側面も持ち合わせています。〈踊こはでさ節〉は、このようなコバテイシの特性をモチーフに恋愛を主題とした曲となっています。
古くから大きな樹木には神や精霊が宿るとされています。その精霊のことを沖縄方言では「木の精(キーヌシ―)」と称しており、大木を伐り倒す際は祈祷を行っていたようです。樹木は住居などの資材のほか自然の恵みをもたらし、人々の生活を支えてきました。また、セジ高い神聖な場所では森そのものを神木とみなし、生活と信仰が密接に関係し合い心の拠り所として人々の営みを支え続けています。
琉球古典音楽演奏家 親川 遥
首里森御嶽(すいむいうたき)
琉球の神話で神が造られた聖地。
この御嶽は首里城内で最も格式の高い拝所のと言われています。
ガジュマルやクロツグなどが生い茂り、独特の雰囲気を醸し出しています。