30.首里城の色

『こてい節』
常盤なる松の 変はることないさめ
いつも春来れば 色どまさる

<歌意>
常盤なる松は四季を通して紅葉することがなく、緑の葉を茂らせている。
そして、いつも春になるとその緑は一層深まるのである。

歌詞中の常盤とは「永久に変わらないこと」という意味です。松は一年を通して落葉せず、冬でも緑の葉を保つ常緑樹です。常緑樹は他にもありますが、特に松は四季を通して濃い緑色をしており、春ともなれば一段と緑が萌え出ます。また、樹齢も長いことから古くから長寿頑健に例えられ、「不老長寿」の縁起の良い樹木とされています。

曲名の「こてい」とは強健な牡牛のことを指し、曲中の「イーヤーイーヤー」「ヒーヤーマータ」などのハヤシからは、力強い牡牛を連想させてくれます。《こてい節》は数ある琉球古典音楽の中でも、吉兆や慶賀の意を含んでいることから国王の御前で奏される「御前風五節」の中の一つに入っています。

かつて他国と交易をしながら繁栄してきた琉球は、文化や芸術も洗練させてきました。その繁栄を支えてきた中心的な場所が「御城(ウグシク)」、つまり首里城です。現在、多くの人々の力によって再建が進み、少しずつ元の姿を取り戻しつつあります。その再建の様は、まさしく牡牛のように力強くそして着実に行われており、新たな春を迎えるごとに多くの人々に未来への希望を与えています。首里城が再建された後は、より一層と多くの人々から愛され沖縄の象徴、そして心の拠り所として大きく繁栄していくことを願っています。

琉球古典音楽演奏家 親川 遥

首里の街

王府時代の首里は「三平等(ミフィラ)」 とよばれる三つの行政区域に分けられていました。
南風之平等(ハエヌフィラ)、真和志之平等(マージヌフィラ)、西之平等(ニシヌフィラ)です。
「琉球処分」後の1年後に平等は廃止されました。首里は新たに編成されることになりました。